火魅子伝〜霊狩人〜プロローグ(火魅子伝×魂響) |
- 日時: 07/16 11:57
- 著者: ADONIS
- URL : http://adonis2000.fc2web.com/
火魅子伝 〜霊狩人〜(火魅子伝×魂響)
第一部
第一章 耶麻台国復興軍立ち上げ
このSSは、火魅子伝とパソコンゲームメーカーであるあかべぇそふとつぅの魂響のクロスものです。
日魅子は異世界に飛ばされた際、霊狩人の秋月冬馬に拾われます。
その後、冬馬とかすみの養子として、秋月家の霊狩人になっています。
魂響は、かすみエンドの20年後です。
夜刀神は、禍曲剣によって、倒されています。
なお、このSSでは、日魅子が主人公です。
ー設定ー
秋月日魅子(16才)
火魅子伝の直系の火魅子候補。
原作では姫島教授に育てられていますが、このSSでは、強力な霊力を赤子のときから持っていたため、秋月冬馬に拾われ、霊狩人として育てられています。
龍駆石 虚構守鎧(アイギス)と禍曲剣を用いて、怨霊や妖怪を抹殺している。
日魅子は、過曲剣との契約によって、不老の肉体と超人的な身体能力を得ています。
身体能力は、過曲剣のバックアップのみならず、日魅子自身の霊力による強化も相まって、高い能力を発揮しています。
また、生命力が大幅に強化されているので、多少の怪我などは、傷跡も残らずにすぐに直る。
これらの能力は、過曲剣が、自らの使い手の能力の向上させ、老化による衰えを防ぐ為に日魅子に与えているものである。
過曲剣と契約している日魅子だけは、過曲剣で切られても、魂を喰われません。
日魅子は、秋月家の霊狩人とはいえ、妖との混血では無いため、歴代の秋月家の当主のように巫妖還りを起こしていません。
それにも関わらず、過曲剣と契約し、使いこなしているのは、日魅子が天空人”姫神子”の血を濃く受け継ぐ、直系の火魅子で有るためである。
成績優秀、容姿端麗、冷静沈着の所謂クールビューティー。
しかし、恋人の久峪に対しては、並みならぬ執着をみせます。
血の繋がらない妹が二人いる。(冬馬とかすみの実子)
(イメージとしては、魂響の秋月かすみ)
虚構守鎧(アイギス)
所有者 秋月日魅子
能力 所有者を守る不可視の結界。
単純に所有者を守る事だけに、特化しているため、その防御力においては他の類をみない。
かなり強力な術や、ミサイル等の物理的破壊力をも弾く。
通常は、霊力の消費を四分の一に抑える為に、結界出力を最大の25%程にしている。
奥義”至高護法(しこうごほう)”は一時的に、アイギスの結界出力を最大にまで高める。
普段は銀色の指輪の形をしている。
禍曲剣(かきょくけん)
魂響に出てくる秋月の宝剣。
夜刀神(やとのかみ)を滅ぼした”魂を喰らう、神殺しの剣”
冬馬とかすみは、この禍曲剣を嫌っているが、龍駆石が防御だけに特化した日魅子は、他の龍駆石を上回る攻撃力を持つ禍曲剣を重宝している。
禍曲剣は黒い霧を纏う事で、魂喰らい(ソウル=イーター)を発動させる。
この状態の禍曲剣に斬り付けられた者は、それがかすり傷一つであっても、剣に魂を喰われてしまいます。
日魅子は、禍曲剣を怨霊や妖怪との戦いに使うため、禍曲剣は、強力な担い手を得るために契約を交わします。
禍曲剣は元の世界では、強い霊力を持たない一般の人間には見えなかったが、こちらの世界に来てからは、誰でも見えるようになった。
それが界渡りをした影響なのか、それとも異世界の人間だからかは不明。
龍駆石(りょうくせき)
霊狩人が作り出した退魔用の武器、普段は腕輪や指輪などの持ち運びが可能な形をしています。
霊力によって発動し、それぞれの武具へと姿を変える。
完全に個人専用の武器で一度所有者が登録されてしまえば、他人が発動することができない。
日魅子の虚構守鎧(アイギス)、は、龍駆石が変形したものである。
霊狩人(たまかりゅうど)
怨霊や妖怪などを退治している霊能力者。
様々な霊法や龍駆石等を駆使している。
また、霊狩人達は国内での妖魔退治のために、退魔協会を作っています。
耶牟原遺跡、考古学者の姫島教授によって、発見された遺跡
月明かりのない、闇夜の中
そこでは、馬ほどの大きさの、狼のような妖怪と、一人の少女が、対峙していた。
「まったく、ずいぶんと派手なことをしたわね」
少女が淡々と、妖怪に話しかけた。
その周りには、耶牟原遺跡の発掘に携わっていた、人々の死体があたりに転がっていた。
少女は、ブレザー服を身にまとっており、その手に独特な形の剣を持っていなければ、普通の女子高生に見えるだろう。
「シャーーー!!」
少女の言葉が通じたのか、妖怪は少女を威嚇するように、唸り声を上げる。
「まあいいわ。人を食らう妖怪を討つのが、私の仕事だから」
少女”秋月日魅子”にとっては、目の前の妖怪に、自分の言葉が理解できているのかなど、どうでもいいことであった。
「顕現化(で)なさい『虚構守鎧(アイギス)』」
日魅子の言葉に、左手の銀色の指輪が光を放ち、日魅子の体を不可視の結界が包み込んだ。
「ガアア!!」
そんな日魅子の行動に刺激されたのか、妖怪が日魅子に襲いかかり、その爪で日魅子を引き裂こうとした。
日魅子は、妖怪の動きを見つつも、微動だにしなかった。
妖怪は、日魅子を引き裂いたと思ったが、その爪は日魅子の体の表面で、不可視の結界に弾かれた。
「ガアッ・・」
妖怪が予想外の事態に狼狽えていると、日魅子は禍曲剣で、妖怪に切り掛かった。
「はああああー!」
ズバッ!!
日魅子の一撃は、妖怪の首を引き裂いた。
「ガアアア!!」
妖怪を遠心力を加えて、勢い良く蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた妖怪に日魅子は、フローイングナイフを投擲する。
投げ放たれた三本のナイフは、妖怪に突き刺さるとナイフに込められた霊力が爆発した。
日魅子は予めフローイングナイフに霊力を込めていて、突き刺さる直後に爆発するように仕掛けていた。
爆発が収まると、妖怪が異常な回復力で、受けた傷をほとんど直してるのを確認した。
「ちっ、大した回復力ね」
妖怪は大抵、強い回復力を持っているが、この妖怪はその中でもかなり回復力が強い者だ。
なんせ、あれ程の打撃を与えて、もう回復しているのだ。
この場合、脳や心臓などの急所を破壊するか、相手の回復が追いつかないほどの攻撃を加えるかしなければならない。
「まあ良いわ。それなら、こうするまでだもの」
日魅子は禍曲剣を構えると、禍曲剣を纏うように黒い霧が発生した。
その直後、怪我を治した妖怪が日魅子に攻撃を仕掛けてきた。
「ガアアア!」
妖怪は真正面から日魅子に襲いかかる。
「また、真正面から、所詮は獣か」
ポツリと呟くと、日魅子は妖怪を切り裂いた。
妖怪は、日魅子の剣を何とか避けようとしたが、避けきれずにキズを負ってしまった。
それは、致命傷ではない、この妖怪は並はずれた回復力があるので、問題はないはずであった。
「ガアアーーー」
しかし、突然に妖怪が苦しみだす。
それは、禍曲剣が纏っていた黒い霧を介して、妖怪の命その物が禍曲剣に吸われているようだった。
そして、妖怪はそのまま崩れ落ちた。
「禍曲剣の魂喰らい。いつ見ても凄い力だな」
不意に日魅子に話しかける声が聞こえた。
そこにいたのは、学生服と学生ズボンを着た、日魅子と同じぐらいの年の少年だった。
「もう、九峪。一仕事を終えた私に他にいう事はないの?」
「ああ、ごめん。お疲れさま日魅子」
九峪が苦笑いをしながら、日魅子を労う。
「どういたしまして」
日魅子は、そんな九峪に微笑んだ。
「しかし、今回は俺の出番は無かったな」
九峪がぼやく。
今回は、日魅子と九峪で退魔を行うつもりだったのだが、妖怪がたいした能力を持っていなかったこともあって、日魅子だけでケリが付いてしまった。
九峪の能力は、前衛にも対応しているが、基本的に後衛型の為、前衛型の日魅子をサポートしたり、後方から妖怪を攻撃したりするのだが、今回はその必要すらなかった。
「禍曲剣を手に入れてからの日魅子は凄いな」
確かに、アイギスの強力な防御力と、禍曲剣の凄まじい能力を考えれば、日魅子をサポートする必要は無いのかも知れない。
しかし、九峪は恋人の日魅子を守りたいと思っているのである。
霊狩人の仕事は常に死と隣合わせだ。
日魅子が強いとはいえ、それは例外ではない。
だからこそ、九峪は日魅子をサポートをしていた。
「それにしても、これは後始末が大変だな」
九峪が、呆れたようにいう。
周囲には、妖怪に殺された人たちや、妖怪の死体があり、それを人目触れないように、処理しなければならない。
妖怪
妖(あやかし)ともいわれる、それは遙かな昔より、この世界に存在していた。
彼らは、その多くが人間を襲い喰らう。
そんな妖怪を霊能力を駆使して、退魔を行うのが霊狩人であり、彼らの組織、退魔協会である。
通常であれば、妖怪達は霊狩人を恐れ、自分たちの存在を知られないように、闇に潜み密かに人を襲い喰らう。
しかし、今回の妖怪は、自らの存在の秘匿などお構い無しに、派手に人を襲っていた。
これでは、一般に対する隠蔽工作も難しい。
妖怪の存在は、一般には知らされていないのだ。
しかし、派手に事件を起こされると、隠しきれなくなる。
いくら、警察などの、手助けがあるとはいえ、限度があるのだ。
通常は、この地域を担当する二つの霊狩人の家の何れかが、この妖怪を討つのだが、この地域の霊狩人の家は、最近かなり強力な妖魔との戦いで壊滅状態になってしまったのだ。
その為、この地域で退魔を行う者が存在しなかった。
この事態に慌てた退魔協会は、急いで近隣の霊狩人の私と九峪に、この妖怪の始末を要請したのだ。
まあ、今回は退魔協会も処理班を用意しているから、彼らに任せればいいだろう。
チリーン
「鈴の音・・・」
日魅子は、自分が秋月に、拾われたときから持っていた、鈴が鳴っている事に気がついた。
「どうして、この鈴が・・・」
チリーーーン
今まで、全く鳴ったことがない鈴が鳴っていることに驚いたが、日魅子は自分の意識が、ぼやけていくのを感じた。
「ヨウヤク、アエタ」
朦朧とする意識の中で、聞いたことのない声が聞こえてくる。
「サア、イコウキミノイルベキセカイヘ」
日魅子は夢をみているかのような、不確かな感覚の中で、自分の体が光に包まれていくのを感じていた。
「な、日魅子。どうしたんだ!」
九峪は、突然様子がおかしくなり、光に包まれていく日魅子に驚いた。
しかし、九峪の呼びかけにも関わらず、日魅子は虚ろなままで、日魅子を包む光が強まるばかりであった。
そして、光と共に耶牟原遺跡に居たはずの、秋月日魅子の姿が消えていった。
耶牟原遺跡で発掘された天魔鏡と共に・・・
| |