火魅子伝〜霊狩人〜第3話(火魅子伝×魂響)
日時: 05/22 22:23
著者: ADONIS
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火魅子伝〜霊狩人〜第3話(火魅子伝×魂響)



「日魅子、過曲剣を使うのは、止めなさい」

霊狩人として、過曲剣を使う私を、義母のかすみがたしなめる。

「何故ですか?この剣は秋月の宝剣、秋月の霊狩人である、私が人々を守るために、使うのは当然だと思いますが」

「その剣は、その様な物ではないわ。本来は念入りに封印しなければならない、禍々しき魔剣よ」

義母は、以前から私が過曲剣を使うのを止めさせようとしていた。

「それは、この剣が■■の■を、■したからですか?」

日魅子のその言葉に、かすみは驚愕する。

「どうして、それを知っているのです!」

「剣が教えてくれたんです。過曲剣と契約をしたときに、剣の記憶を見ました」

「契約?」

「ええ、過曲剣の意志。剣霊とでもいいましょうか、私は、それをこの身に受け入れました」

「日魅子、貴女まさか!」

「今の私は過曲剣と、生命を共有しています。過曲剣から生命を貰い、もはや、老いることもありせん」

日魅子は、もう話すことはないとばかりに、席をはずした。

「日魅子」

部屋から出たとき、義母のかすみが、弱々しく私の名を呼ぶ声が、聞こえた。





「日魅子、日魅子、起きてよ」

私を呼ぶ声が聞こえる。

キョウが私を起こそうとしているようだ。

日魅子は、久しぶりに夢を見た。

元の世界で、義母のかすみと話した、あのときの夢。

あまりいい夢ではなかったが。



日魅子達は、伊雅の所に向かう途中で、日が暮れたので、近くにあった。うち捨てられたこの神社で、一晩を過ごすことにしたのだ。

「日魅子、この神社に人が近づいているんだ」

「この、神社に住んでいる人?」

「違うよ。久根国兵士が30人ほどいるよ。後、囚人が4人いるけど」

「つまり、ここは、その捕まった人が使っていた拠点で、久根国兵に、案内させられている訳?」

「たぶん、そうだと思うんだけど。捕まっている囚人の一人が火魅子候補なんだ」

キョウのその言葉に、場が凍る。

「まあ、いいわ。その人達を助ければいいわけね」

「そうなんだ」

日魅子の問いにキョウが答える。

「なら、私に考えが有るけど」

日魅子は、伊万里達を集めて、作戦を説明した。



久根国の左道士の深川は、星華達をつれて、耶麻台国残党の拠点に行こうとしていた。

深川は狩人部隊の隊長として、耶麻台国の残党を罠を仕掛けて、捕らえていた。

現在は、捕らえた反乱軍の拠点に向かっているところだった。

長い階段を中程まで、上っていたとき、階段の一番上に、一人の少女が立ちふさがっていた。

「ここは、通行止めよ。他を当たりなさい」

独特な形の大剣を持つ、妙な格好の少女がそういった。

「巫山戯たことを、おいあの女を始末しろ」

深川の命令で4人の久根国兵士が日魅子に攻撃する。

しかし、彼らに槍や剣は、日魅子にあたる前に何かに弾かれ、傷一つ付けることが、できなかった。

「な、なんだこいつは!」

久根国兵に動揺が走る。

「まあ、こんなものかしら」

日魅子は、淡々と呟き、剣を振るう。

それから、後は戦いというより、虐殺に近かった。

久根国兵の攻撃は、日魅子に一切通じず。

防御や回避を全く無視した、日魅子は、久根国兵を次々と切り捨てていった。

「ば、化け物だあー」

僅かに、生き残った久根国兵は戦意を喪失し、逃げ出した。

深川が気がつくと、既に人質の4人が伊万里達に、救出されていた。

作戦は、日魅子が、久根国兵を囮として引きつけ、そのすきに、伊万里達が囚人を助けるという段取りであった。

もっとも、日魅子があまりに強すぎたため、一人で久根国兵を始末してしまったが。

「後は、あなただけね」

「お、おのれ!」

深川は、日魅子に対して、左道を使おうとしたが、その胸に過曲剣が、深々と突き刺さった。





おまけ
過曲剣のオリジナル設定
秋月かすみは、魂響のかすみエンド後に、禍曲剣で夜刀神を倒しています。
夜刀神を殺すという役割を終えた禍曲剣は、その後、秋月の家にて、20年間封印されていたが、日魅子が禍曲剣の封印を解除しました。
日魅子は、禍曲剣を怨霊や妖怪との戦いに使うため、禍曲剣は、強力な担い手を得るために契約を交わします。
日魅子は、過曲剣との契約によって、不老の肉体と超人的な身体能力を得ています。
また、生命力が大幅に強化されているので、多少の怪我などは直ぐに直ります。
これらは、過曲剣が自らの担い手の能力の向上を願い、また老化による衰えを嫌ったためである。
過曲剣と契約している日魅子だけは、過曲剣で切られても、魂を喰われません。