火魅子伝~霊狩人~第10話(火魅子伝×魂響) |
- 日時: 06/13 01:43
- 著者: ADONIS
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- 火魅子伝~霊狩人~第10話(火魅子伝×魂響)
戦闘終了後、耶麻台国復興軍は、集結した。
復興軍は取り敢えず、軍議を開始した。
「それで、伊雅こちらの被害は?」
「はい、死者が二百名ほど、負傷者も百五十程、出ております」
「しかし、野戦に持ち込んで、伏兵まで仕掛けたのに、これ程被害が出るとは、久根国兵が強兵という話に、嘘はないようね」
日魅子が、嫌そうな顔をした。
「死者と負傷者は、大半が親衛隊です。まともに訓練もしていない者達では仕方がないかと」
日魅子の言葉に、伊雅がそういった。
「まあ、良いわ。取り敢えず、この付近に落ちている物や、敵味方の死者から、使える武器や防具等を回収して、その後、敵味方の火葬をしなさい」
「死者から、武器や防具を回収するのですか?」
星華が嫌そうにいった。
「道具は使ってこそよ。死者が持っていても無意味だわ。生きている者が有効活用するべきね」
星華の苦情を、日魅子はさらりと流す。
武器や防具は、ある程度は準備してきた為、今の所は不足していないとはいえ、消耗品であるし、これから不足するかもしれないのだ。
使える物は、再利用するべきだ。
「それで、日魅子様こちらの方々は?」
伊雅が香蘭達の説明を求めてきた。
皆も気になっていたようだが、私が軍議でまとめて紹介すると、いっていたので、特に聞いてこなかったのだ。
「ええ、こちらの方々は・・・」
日魅子が、皆に香蘭達を紹介をしていった。
皆、只深と香蘭が、火魅子候補であることに、驚いていた。
そこで、日魅子は天魔鏡で、只深と香蘭を映し証明した。
亜衣は星華のライバルが、二人も増えたことに、頭を抱えていた。
星華は、香蘭の胸の大きさに敵意を抱いた。
復興軍では、自分よりが一番胸の大きさと形が良いと自慢していただけに、女王争いだけでなく胸でも、ライバルとなると思っていた。
因みに、日魅子や伊万里もそれ程、星華に負けているわけではない。
最も、日魅子は九峪以外の男に興味が無いため、胸の大きさにはこだわっていなかった。
「それでは、香蘭。皆さんに自己紹介をお願いしますわ」
日魅子のその言葉に、紅玉は驚いた。
日魅子は、香蘭が倭国語をうまく話せないことは、気づいているはずだ。
「ええっと・・・ふ、不幸軍の皆さん・・・わたし、香蘭といいます。よろかしい・・・じゃなくて、よろこぶ?」
香蘭が、倭国語に不自由であることに、伊雅達が面食らう。
「香蘭は、大陸で生まれ育ったから、倭国語に馴れていないのよ。まあ、私たちも大陸の言葉は話せないから、無理もないと思うわ。そうよね伊雅?」
そこに、日魅子がすかさず、フォローする。
「確かに、そうですな」
日魅子の意図に気づいた、伊雅がそう答えた。
「まあ、香蘭には、おいおい倭国の言葉に馴れていってもらうから、皆もそのつもりでいるように」
日魅子は、そう締め括る。
伊雅と日魅子の言葉に、皆も納得する。
紅玉も、日魅子の意図が分かった。
日魅子は、倭国語に不慣れな香蘭が、不必要に軽んじられないように、配慮したのだ。
香蘭が倭国語に不慣れなのは、誤魔化しようがない。
しかし、皆の前で、司令官の日魅子と伊雅が、その事に納得すれば、他の者もすんなり受け入れるからだ。
紅玉は、余所者の自分たちが、倭国でちゃんと受け入れられるか不安だった為、なおさら日魅子の配慮に感謝した。
その時、物見の者が報告にやってきた。
「報告します。当麻の街より四百もの軍勢が出てきました」
物見の報告で、場は一気に緊迫する。
「馬鹿な、まだ四百もの兵がいるのか?」
当麻の街には、久根国兵三百、九洲兵が三百しかいないはずだ。
清瑞が兵の数を数え間違えるとは思えない。
合戦の勝敗が、当麻の街に知らされているなら、出てこないはずだ。
「それが、当麻の街から出だ軍勢は、耶麻台国の旗を掲げていました」
その物見の言葉に、まわりは騒然となる。
日魅子は、その軍勢が何者なのかを確認するため、伝令を放った。
数十分後、伝令が帰ってきた。
例の部隊は、火魅子候補の藤那が率いる、耶麻台国再興軍であり、彼らは既に当麻の街を占拠したとのことであった。
意外な展開に、皆が驚いていた。
「藤那、確か仙族の所にいた火魅子候補ね。そういう事なら再興軍と合流するとしましょう」
復興軍は日魅子の言葉によって、当麻の街へ向かっていった。
こうして、耶麻台国復興軍は、拠点となる街を確保し、耶麻台国復興の第一歩を歩いていった。
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