火魅子伝〜霊狩人〜第12話 (火魅子伝×魂響) |
- 日時: 07/07 21:40
- 著者: ADONIS
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伊雅達が当麻の街で、籠城の準備を進めている中、日魅子は千二百の兵を率いて、兵の海上輸送の準備、訓練等をしていた。
日魅子の逆上陸部隊には星華、衣緒、羽江、紅玉、香蘭、音羽、雲母、清瑞及び海人集団の重然、阿智、内海が参加していた。
この時代、海人集団以外は、船に乗ったことのない人間ばかりであった。
当然、耶麻台国復興軍は、船に乗ったことがない人間ばかりである。
しかも今回は、久根国に見つからないように夜間に海上を移動し、上陸しなければならない。
ある程度は、練習しておかないと、失敗する作戦が恐れがあった。
日魅子がこの自ら、この逆上陸部隊を指揮するのは、船に乗るのが始めてであり、不安がるだろう兵士達を鼓舞するためでもあったのだ。
兵士達は、初めて乗る船に悪戦苦闘しながらも、なんとか次第に馴れていった。
今回、日魅子達には、海人集団と共同開発しておいた、新型の船があった。
航空母艦、戦艦、輸送艦などである。
これらは船には、方術処理を施した、可動式の三角帆を初め、元の世界の帆船の技術を可能な限り投入していた。
今回は海上輸送の為、輸送艦が主要な船となる。
この時代これほどの船は、まず存在しない。
「しかし、一年ほどでこれだけの艦隊を揃えられるとは、大したものね」
「いえ、日魅子様の設計がよかったんですよ」
日魅子の言葉に、重然はそう答えた。
確かに日魅子は、これらの軍艦を造りやすい様に設計したが、この時代に、これほどの艦隊を製造できたのは偏に、重然達の造船技術の高さを物語っていた。
日魅子は元の世界では船それも帆船に関して、其程詳しくなかったのだ。
その為、可動式の三角帆等の新技術を搭載した船の開発は一から試作して行くしかなかった。
「本格的な輸送艦があるのは、こういう時に便利ね」
「全くです。船に乗ったことのない兵士を千二百人も海上輸送するなんて、用意していた大型輸送鑑が無かったら大変でしたよ」
「まあ、復興軍を起こす前に、船を準備させたのは正解だったということかしら」
「これも日魅子様の先見の明のおかげです」
「そうね、でも耶麻台国を復興させたら、水軍を作って久根国の侵攻に備えるなければなりません。その際には貴方達の活躍に期待しているわ」
「分かってやす」
重然が日魅子にそう返事をした。
3日後
逆上陸作戦が開始された。
兵士達は、小隊ごとに何とか離陸を終えた。
兵士達がバラバラであったならばこうも巧くいかなかったが、小隊単位で行動することで、兵士達を纏め上げたのだ。
「なんとか、なったようね」
特に問題もなく離陸できた為、日魅子の呟いた。
日魅子は艦隊旗艦の戦艦火向に乗っている。
火向には、星華、音羽、清瑞、雲母、香蘭、紅玉が乗っていた。
衣緒と羽江は航空母艦の鈴蘭に乗っている。
今回は、飛行艇8機と5人の方術士を引き抜いていた。
羽江は、飛行艇の海上運用の為に、鈴蘭で飛行艇を整備していた。
羽江が此方に来たのは、飛行艇の航空母艦での運用試験のためが大きかった。
「日魅子様、これは大船ですね」
清瑞が珍しくはしゃいでいた。
そういえば、清瑞はこの作戦にやけに乗り気だった。
この様子だと、単に船に乗りたかっただけだろうが、
「ふう、あまりはしゃぎ過ぎると船酔いするわよ」
私は、馴れない船に酔わないように大人しく座っていた。
そして、案の定清瑞は船酔いした。
「はあ、大丈夫、清瑞?」
私は呆れつつ清瑞に尋ねる。
「だ、大丈夫じゃないですぅ」
どうやら、かなり酔っているようだ。
顔色もかなり悪い。
私は、清瑞を重然に任せた。
火向級戦艦
全長100メートル
主砲は前と左右に120ミリの大砲を配置
左右の甲板に弩を配置
一番鑑 火向
二番鑑 火後
鈴蘭級航空母艦
全長100メートル
飛行艇を運用するために設計された船。
飛行艇が発着陸しやすいよう後部甲板は凹凸の無いようにしている。
飛行艇を50機運用可能。
一番鑑 鈴蘭
当麻級輸送艦
全長50メートル
兵員や物資の海上輸送又は、大陸や半島との貿易にも流用することを目的に設計している。
一番鑑 当麻
二番鑑 美禰
三番鑑 去飛
四番鑑 児湯
五番鑑 刈田
六番鑑 川辺
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