火魅子伝~霊狩人~第13話 (火魅子伝×魂響) |
- 日時: 07/07 21:58
- 著者: ADONIS
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耶麻台国復興軍は夜の闇に紛れて、美禰の街の近くの浜に上陸した。
日魅子は、この浜では、大型の船で直接上陸するのは、難しかったので、予め搭載していた小型の船に、人員と物資を積めて、上陸させた。
日魅子が夜に上陸を開始したのは、少しでも誰かに発見されるのを避けるためであった。
作戦上最初の上陸は、気づかれたらいけないのだ。
ここで、敵で無くても、地元の住民に見つかりでもしたら、彼らから久根国へこの事が伝わるからだ。
彼らは、復興軍が上陸してくるなんて、知らないから、私達を正体不明の勢力だと思うだろうし。
訓練も無しに夜間上陸をしたため、少々手間取ったが、何とか上陸を成功した。
「よし、では計画通りに進めるわ」
「はっ」
日魅子の命に皆が頷いた。
翌朝、美禰の街の久根国兵達は、空にやけに大きな鳥が9匹飛んでいるのに、気が付いた。
「なんだあ、やけに大きい鳥だな?」
その時、それから何かが落ちてきた。
「糞か?」
しかし、それが落ちると、大爆発を起こした。
「な、なんだ~!!」
「て、敵だ、敵襲だ!!」
兵士達が狼狽える。
その間にも、大きな鳥、いや敵の機巧兵器が次々と炸裂岩を落としていった。
それらは、さらに爆発していった。
この時代の建物は木造なので、次々に火か付いた。
「し、消火しろ!水を持ってこい」
部下が狼狽える中で、美禰の街の守備隊長は、部下に消火を命じた。
「て、敵の大軍だ!!」
見張りの兵士達が、騒いでいた。
「な、何だ敵だと?」
「あ、あちらに」
兵士にいわれて、隊長がそこを見ると、西にある丘陵地帯から北に広がる田畑や林にかけて、無数の旗が立っていた。
しかも、旗に描かれた模様は日輪と巴を象った耶麻台国の紋章。
旗の数から一千以上の反乱軍が押し寄せていることに間違いないようだ。
「な、何故これほどの数の反乱軍が?」
「隊長、大変です。敵が上陸してきます」
部下が慌てて知らせてきた。
隊長が浜の方を見ると、
「うっ」
沢山の小舟が上陸をしていた。
反乱軍は、盛んに銅鑼や鐘が叩いて、上陸していた。
三百、いや四百はいるだろう。
併せて、千四百もの反乱軍が美禰の街を攻めようとしているのだ。
隊長は急いで、留守に報告しにいった。
「何だと!千四百もの反乱軍に包囲させただと?」
隊長の報告を受けた留守は驚愕した。
彼は、顔を青ざめながら、隊長に尋ねた。
「この城の戦力は・・・」
「三百ですが、その内の百五十が九洲兵です」
本来はこの美禰の街には久根国兵だけでも三百はいたが、常慶将軍の輜重部隊として提供していた為、兵力が低下していた。
「しかし、こういう事態となると九洲兵は役に立ちません。それどころか反乱を起こす危険があります」
「ど、どうすればいい?」
留守が隊長に聞いた。
「まずは、九洲兵の武装解除を増援を要請して下さい」
「そ、そうだな、そうせねばな。しかし、増援といっても川辺城には余剰兵力はないぞ?」
「ええ、ですから実際には、当麻の街を攻略している常慶将軍に、援軍を要請します」
その時、兵士が部屋に飛び込んできた。
「隊長大変です。大変であります」
「何だいきなり入ってきて」
隊長が部下に怒鳴った。
「それどころではありません。また敵が上陸を開始しました。兵力は先ほどと同じ四百ほどです」
「な、敵はまた増えたのか?」
「千八百もの敵軍に包囲されたのか!」
更なる凶報に隊長と留守が動揺する。
「ど、どうすればよい。儂らはどうすればいいのだ」
「こうなったら、伝令の報告を少し誇張するしかありません」
「誇張とな」
「常慶将軍の元に行かせる伝令にはこういわせましょう”美禰の街は反乱軍三千に包囲された。敵は飛行機巧まで用意しており、このままでは五日と持たず城が陥落する恐れがあります”と、こういえば常慶将軍も後詰めを送ってくれるでしょう」
「おお確かに、早速そうしよう」
こうして、日魅子の偽兵工作は、思わぬ数に膨れ上がってしまった。
この事で、日魅子の思惑が外れてしまい、作戦を修正させることになった。
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