火魅子伝〜霊狩人〜第16話 (火魅子伝×魂響)
日時: 07/10 21:27
著者: ADONIS
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去飛の街を落とした復興軍は、多数の物見を放って、敵の輜重部隊を発見し、清瑞の指揮する大物見大隊を使って襲撃させた。

敵の輜重部隊は孤立無援となっていたので、簡単に始末できた。

その一方で、日魅子は去飛の街に有る程度抑えの兵を置き、二千五百で当麻の街の救援に向かうつもりだった。

ついでに、その二千五百は、五つの大隊に分けて、当麻の街の救援に向かわせた。

各大隊は日魅子、星華、衣緒、紅玉、清瑞が指揮していた。

また、重然、阿智、蔚海には、物資の海上輸送をやらせた。

また雲母は、去飛の街の守備に残らせていた。



ここで、紅玉の大隊が、久根国兵の一千の部隊と遭遇戦をしてしまうという、事態が起こってしまったが、当麻の街から打って出た志野や藤那が、この久根国兵の後方を突いたことで挟撃することになり、久根国兵を撃退できた。

一方、児湯の街が戦わずして、復興軍に落ちたことなどもあった。

どうやら、当麻の街では、久根国兵を撃退して、追い払うことに成功したらしい。

しかし、当麻城奪還軍はいまだ二千もの部隊が残存している。

この部隊を川辺の街まで撤退させると、後々面倒なことになる。

日魅子は、この二千の久根国兵を徹底的に叩くつもりだ。

当麻の街の攻略に失敗し、敗退しているため、この二千の部隊は士気が落ちているだろう。

おまけに、城の攻略戦とその後の撤退で疲労しているし、輜重部隊を叩いたから補給にも困っているはずだ。

いまなら、この二千と叩けると考えた。日魅子は当麻の街の部隊と合流して、久根国兵二千と決戦を挑むことにした。



久根国兵二千は、小高い丘の上に陣を張っていた。

しかし、防御施設の構築はしていなかった。

やりたくても資材や工事用の工具も無いのだろう。

対して此方は三千三百もの部隊であった。

日魅子は今回の決戦の為に集結した復興軍の編成を変更した。

本営 彩花紫 五十名。

第一空挺隊 星華、亜衣、衣緒、羽江及び五十名の巫女。五十名。
飛行艇の訓練を積んでいる方術士を全員動員している。

日魅子親衛隊 日魅子 百名。

第一大隊 伊雅 五百名。

第二大隊 伊万里 五百名。

第三大隊 志野 五百名。

第五大隊 藤那 五百名。

第六大隊 紅玉 三百名。

第一遊撃隊 清瑞 二百名。

第二遊撃隊 琉度羅丹 二百名。

第三遊撃隊 哥羽茉莉 二百名。

第四遊撃隊 音羽 二百名。



決戦はまず、第一空艇隊、五十機の爆撃から始まった。

下手に密集陣形を築いていたため、爆撃の被害が拡大した。

連戦で、弓矢の枯渇したため、彼らは有効な反撃手段を失ってしまっていた。

彼らが狼狽えていると、正面から伊雅と志野の大隊と日魅子の親衛隊が正面から突撃し、それと同時に、左翼には伊万里の大隊が、右翼には藤那の大隊が攻撃を加えた。

最初に崩れたのは、右翼であった。

彼らは藤那の騎馬隊に押されて崩れたのだ。

次に、中央が崩れた。

これは、伊雅や志野の猛攻と、日魅子の切り込みが効いたのだ。

特に、日魅子はアイギスの防御力にものをいわせて、敵軍に突っ込み。

久根国兵を魔人の如き強さで、蹴散らしたのだった。

右翼と中央が崩れると、伊万里の攻めていた左翼も崩壊した。

そして、後方からは清瑞、哥羽茉莉、琉度羅丹、音羽の遊撃隊が攻撃をかけ、敵の後方を攪乱していった。

そして、敵軍は総崩れとなった。

「紅玉、貴女は敵の本陣に突撃して、敵の大将を討ち取りなさい」

彩花紫は、敵が崩れたのをまって、紅玉に突撃を指示した。

「委細承知」

軍師の命により、本営に待機していた紅玉は、突撃した。

そして、紅玉の大隊は敵の本陣を攻撃し、常慶将軍を討ち取った。

決着はついた。

この戦いで、久根国兵は敗退し、逃げ延びた者は、百名もいなかった。

残りの多くは討ち死し、僅かな者だけ捕虜となった。