火魅子伝神の使い代行者 第二話「ココはど〜こ?」 (H:ゲーム+小説 M:キョウ+オリ J:ほぼギャグ+ちょいシリアス
日時: 06/18 03:46
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「う…う〜ん……うん?ここは?」

 大和が起きながら周りを見回すと周りは木々に溢れた森だった。

「あれ?どうして君が?」

 自分の後ろで聞いたことも無い声が聞こえ、前にステップしながら後ろを振り向いた
 
「なんやねん?お前は?」

 銅鏡が鏡の側を上に向けて落ちている上に不思議な者?がふわふわ浮いていた。

「なんやねん?とは失礼だな、これでも精霊の一種なんだよ」

 自分自身の事を精霊と自己紹介した物を大和はじっくりと眺めてみた。

 そして大声で

「…却下!」

 と答えた。

「はい?」

 間の抜けた返事が返ってきた。

 それはそうだろういきなり自分の事を答えて相手に「却下」など言われたら誰だってそんな声を出すだろう。

「お前みたいなちんちくりんなショボイ奴が精霊なんて例え世界が認めても
 俺は絶対に認めない」

「そ、そんな」

 へなへなとまるで蚊取り線香にやられた蚊のごとく地面に落ちていった。

「そりゃあ、火魅子がいなくなって僕の力も弱くなって大きさも小さくなって
 見た目もショボくなったけどさ、そこまで言わなくたって……」

 地面にのの字を書きながらいじけ始めた。

「冗談はさて置き、ここはどこなんや?どう見ても博物館の中やないな」

「そう!そうなんだよ!!」

 大和の声に反応し勢いよく大和の顔の前まで飛んできた。

「さっきも言ったけど何で君がいるの?確かに火魅子を時の御柱に入れたはずなのに?」

 顔の前を飛びながら右往左往する様に少しイライラした大和は右手でイキナリ鷲掴みで捕まえた。

「うわ!」

「とりあえず落ち着け。お前には色々聞きたい事があるからな。
 冷静でいてもらわんと、俺が困る」

 凄みを効かしたと声と目で、口調はあくまで冷静に脅し気味で話した。

「ハ…ハイ」

「よし」

 大和は雰囲気を元に戻し、手を離してあげた。

「フウ〜死ぬかと思ったよ」

「精霊って死ぬもんなんか?ああ、それより先に一つ答えてくれへんか?」

「何?」

「名前教えてくれへんか?さっきから打つのが大変らしいねん
 因みに俺は大和。橘大和や」

「?、一部、意味が分からないけどまあ、いいや
 僕の名前はキョウって言うんだよろしくね」

 大きさが合わない手同士で握手をした。

「さて、んじゃあキョウ、悪いけど色々聞きたい事があるから
 それに答えてくれへんか?」

「うん、分かった、僕の答えられる事なら答えるよ」

 大和は荷物を降ろし、座りながら質問を始めた。

「まずはここはどこやねん?起きたらこんなとこで流石に俺も驚いたで」

「そうだね…説明すると長くなるんだけど良い?」

「う〜ん、打つのも読むのも大変だから要点だけで頼む
 分からんとこはその場で一つ一つ聞いていくわ」

「?大和って時々よく分からない事言うね?」

「諸事情があんねん、そこは流してくれ」
 
「ま、いいけどね。それじゃあ、要点だけ話すね
 まずここは、三世紀の九洲なんだ」

「三世紀の九州!!!??」

 大和は驚きの余りに大声で繰り返してしまった。

「どういうことやねん!ハッさてはドラ○もんか!タイムマシンか?タイムマシンなのか?
 それとも烈○の炎か!時空流離やな?
 ハハーン、さては未来から来たな?『ドック、もう時間がないよー』ってか?」

 身振り手振りを加えながら一気に喋った。

 余りの暴走っぷりにキョウまでもが慌てた

「お、落ち着いてよ」

「OK〜落ち着くわ」

 キョウが声をかけると今までの暴走が嘘の様に冷静な様子で答えた変わり身の早さに思わずキョウが空中でずっこけた。

「も…もしかして今の演技?」

「当たり前だ、俺は『目の前にあることは冷静に対処する』をモットーに生きてるんや
 早々、取り乱したりせえへんわ
 その代わり、さっきみたいに冗談をするけどな」

「凄いんだか、凄いく無いんだか」

 キョウはハア〜と溜め息をした。

「まあ、気にすんな、それよりも続きを話そうや」

「そうだね」

 キョウはワザとセキをして自分の気持ちを切り替えた。

「それでね、ここは耶麻台国って国が治めてたんだ」
 
「それって日本史や魏志倭人伝にある、あの邪馬台国か」

「大和が言っているのとは違うよ。
 ここは三世紀の九洲とは言ったけど正確には昔にタイムスリップしたわけじゃないんだ」

「どういうことや?」

「う〜ん、そうだな……大和って並行世界って分かる?」

「ああ、例えば俺が女だったり、いる筈の友達がいないとか
 自分の世界と似てはいるけど、どこか違う
 『もしもが成り立つ世界』のことやろ?」

「そうそう、だからここもそういう所なんだ
 例えば、耶麻台国も九洲も字が違うんだ」

 言いながら指先に光を出しそれを使い空中に耶麻台国と九洲と書いていった。

「他にも方術や左道術っていう大和に分かりやすく言うなら 
 魔法みたいな物があるんだ」

「確かに全然違うな」

「ここまでは分かった?」

「ああ、続きを頼むわ」

「ウン、さっきも言ったけどここは耶麻台国って国が治めてたんだ
 今は狗根国っていう国が治めている」
 
「名前が変わったんか?それとも…」

「そう、侵略
 耶麻台国が滅びて十数年たった世界が
 今、僕達がいる世界なんだ」

 キョウが落ち込んだ様子で話始めた。

「狗根国は大和に分かりやすく言うなら関西地方にいたんだ
 それが中国地方の国を侵略した後九洲、耶麻台国に侵略してきたんだ」
 
 キョウの小さな体がブルブルと小さく震えていた。

「耶麻台国は代々女王が治めていたんだけどある時から王族に女性が生まれなくなったんだ
 仕方なく何代かは代わりに男の王が治めていたんだけど
 耶麻台国は見るからに廃れていった
 女王が治めて初めて耶麻台国は意味をなしていたんだから仕方が無かったんだけどね」
  
「最後の部分はどういうことや?国の象徴の王に性別が関係あるんか?
 王族の血が流れてるだけじゃアカンのか?」

「元々、初代女王の火魅子は天空人だったと言われているんだ」

「天空人?天使みたいなものか?」

「あながち、外れてないよ、それとは逆に魔人っていうのもいるけどその話はまた今度で話すよ」

「分かった」

「それで、初代火魅子が
 『男は闘争心が溢れる為、王になれば争いが起こる
  女は清らかな心が溢れる為、王になれば平穏が訪れる
  私の後も女王が治めるならばその者達には
  私の力を授けましょう』って言ってね
 その言葉通り代々女王には不思議な力が授けられたんだ」
 
「でも男の王にはその力が授けられなかったと?」

「うん、そうなんだ」

「男女差別もええとこやな〜」

 木々の間から見える真っ青な空を見ながら大和が言った

 そして再び顔をキョウの方へ戻した

「そこまでの話の流れは分かったけど、それと俺をここに連れて来た理由は繋がらんな
 そこんとこを頼むわ」

「うん、前置きが長くなってゴメンね。
 狗根国が中国地方に攻め始める少し前に実は王に女の子が生まれたんだ
 王族は大喜びしたよでも、さっき話した力を授かるには最低でも最低十四、五歳にならないと授かる事は出来ないんだ
 国中に生まれた事を知らせようとした矢先に狗根国が攻めてきたんだ
 だから、当時の王は生まれた事を秘密裏にしていたんだ」
 
「まあ、そりゃそうやわな、明らかに矛先がその子に向くねんからな」
 
「うん、でも狗根国が予想を遥かに上回る早さで耶麻台国に攻めてきたんだ
 だから、王は自分の弟であり副王でもある伊雅にその子を託したんだ
 そして僕達国宝は念の為に隠す事になった
 僕自身は遠くを見る事が出来るから
 滅びる事、世界の動き、時代が流れる事
 滅びた後の事も全てが分かったんだ」

「そして時代が経ちお前は発掘された」

「うん、それで僕は発掘され、博物館で飾られたんだ
 そして、昨日、見つけたんだあの時の赤ん坊をね
 僕はその子に心でずっと話かけたんだこの時代に帰ろうってね
 時の御柱を発動させ連れて帰ろうとしたのに大和がね…」

 キョウがチラッと見てきて大和はバツが悪そうな顔をした

「あ〜その〜そんなん知らんかったとはスマンかったな」

 ふと大和はある事に気付いた

「アレ?待てよ…じゃあ、もしかして姫島さんが?」

 キョウが無言で頷いた

「えっじゃあ俺は間違えられたんか?」

「間違えたというよりは代わりに近いかなその鈴あるでしょ?」

 大和はあの時から左手に握ったままだった鈴の事を今気付いた

「その鈴は『対魔の鈴』っていってね代々女王が身に付ける物なんだ
 僕はその鈴を中心に柱を立てたから
 多分、発動し切った時に持っていたから大和が時代を逆行したんだ」

「んじゃあ、話は早いな」

「え?」

「もう一度その柱を使って俺を元の時代に戻してや」

「それがね、その〜」

 キョウが言いにくそうに言った

「僕は時代を逆行する事は出来ても未来に行くことは出来ないんだ」

「…………マジデスカ?」

「ゴメン、本当のことなんだ」

 大和はうなだれた。家族の事、友達の事、見たいテレビや自分の部屋の事を思い出していた

 もう戻れない。そう思うと益々悲しくなってきた。

「そう……か…」

「大和!まだ戻る方法はあるよ!」

 大和はパッと顔を上げた

「本当か?」

「うん、火魅子の力で時の御柱を発動させる事ができるんだ」

「え?でも姫島さんがいないから火魅子はもういないんじゃないんか?」

「ううん、実は王に出来た子は一人だけど王族に生まれた女の子は一人じゃなくて数人いたんだ
 まあ、ようするに火魅子候補ってわけつまりその子等を一人でもいいから見つけて女王にすれば」
 
「俺は元の時代に戻れるんやな!」

 大和は思わず立ち上がった

「ヨッシャー!そうと決まればはよ探しに行こうや!
 あれ?ちょっと待てよ?
 耶麻台国って滅びたんやな?それやのに女王が復活する事なんか出来るのか?」

「そう話はここからが本番なんだ、大和座って」

キョウに促されるまま大和は再び地面に座った

「大和も気付いけど今、耶麻台国は無い
 だから女王の座には候補だろうと何だろうと就くことは出来ないんだ
 女王の座に方法は唯一つ
 狗根国戦って勝つ
 これしかないんだ」

 喉が鳴った、狗根国と戦う、狗根国に勝つ、つまり戦争

 自分には話やゲームでしか無かった事

 過去の事でもコンテニューすれば生き返る訳でもない

 今自分の身に起きている事、死ねばそれまで

「……」

「火魅子を連れて来て、候補を全員見つける事が出来れば
 例え十数年経っていようと国中の人を奮い立たせる事が出来る
 そう思って、時代を遡ったんだ」

「……」

「本当にゴメンねとんでもない事に巻き込んで大和には全く関係無い事なのに…」

「…やってやるよ」

「え?」

「やってやるって言ったんや。火魅子候補を見つけて
 狗根国と戦争をして、勝って耶麻台国を復活させたるわ」

「いいの?戦争だよ?死んだら終わりなんだよ?怖くないの?」

「怖いで、そらそうやわ、人を殺し事なんか無いし
 死人だってそんなに見てないねんからなでもな…」

 大和は左手に握った鈴を見た

「ホンマやったら姫島さんがこれをやってたんやろ?
 女の子にこんなんやらせるぐらいやったら辛くても、苦しくても自分がやった方がマシやわ」

 深く深呼吸をしキョウを見て、手を出した

「キョウ、改めてヨロシクな」

「ありがとう、こっちこそヨロシクね」

 二人は再び握手をした




「せやけどさあ」

「ん、どうしたの?」

 大和が手を離しながら不安そうな顔になった。

「俺が火魅子候補を見つけるってのは、大変やけど探せばええやん?
 でも俺がいきなり
 『耶麻台国を再び興すから手を貸してくれ』
 って言うても手を貸してくれへんのちゃうか?」

「う〜んそういえばそうだね…
 よし!じゃあ大和は今から神の使いだ!」

「神の使い?」

「うん、耶麻台国を復興するために神様が使わした者って言う事にすれば
 例え相手が伊雅でも火魅子候補でも手を貸してくれるよ!」

「相手がそんなん信じるか?
 少なくとも俺やったら不審に思うぞ?」

「大丈夫」

 キョウは大きく胸をはった

「なにせ、この僕がいるからね、
 これでも僕は耶麻台国国宝の中でも一番位が高いんだ
 そんな僕を持っていて神の使いって言うなら僕を知っている人ならまず信じるね」

「フ〜ン、まあキョウがそう言うんならそうなんやろな
 OK、分かったわ」

「後、その関西弁どうにかならない?」
 神の使いがそんな口調だったら変だよ?」

 流石に口調の事を言われるとは思わなかった大和は困った顔になった

「そう言われてもな〜
 生まれた時からずっと関西に住んでたから無意識に出てまうねん
 意識すればどうにかはなるけど話してたら自然に出てまうから
 そういう喋り方ってことにした方が俺としたら助かるな」

「ハ〜じゃあ仕方ないか。それともう一つ
 ずっと聞きたかったんだけどその大荷物は何なの?」

 キョウは大和の横に置いてある荷物を指差した

 そして大和はここに飛ばされる前にあったことを話した

「っていうわけでな、こん中には色んな物が入ってるねん
 そうや、今ちょっと中見てみてもええか?
 何が入ってるか確認したいねん」

「そうだね、役に立つものがあるだろうしね」

 二人は手分けして服や食べ物等を分類していき
中にあった大学ノートにリストアップしていった。

 食べ物……米約8人分、レトルトカレー2袋、調味料たくさん、都こ○ぶ20箱
        クッキー20枚程
        水入りペットボトル2本、空1本
        空の魔法瓶1本 
        空き缶1本

「なんでこんなに調味料と都こ○ぶがあるの?」

「俺の趣味と好きだから」

「あ、そう」

 服……Tシャツ3枚、下着3枚、靴下3枚、ジーンズ1枚

「こんなん事になるんやったらもっと持ってきたのにな」

 その他雑貨品……筆記用具一式、日本地図、懐中電灯1本、電池数本
            大学ノート2冊、包丁2本、簡易砥石1個
            マッチ2箱、ジッポライター1個、ジッポ補充オイル1個
            救急キット、包帯2本、消毒液2本、バンドエード2箱
            携帯電話、財布、使い捨てカメラ
            ドライバー等の工具一式
            キーホルダー式方位磁石1個
            タオル2枚
            カッパ3枚            
            『野外で困らない方法大全集』1冊

「実は雑貨品が一番多いんだね?」

「まあ、何かあった時用にいつも色々持ってるからな
 この辺は結構役に立つ物多いな
 後は今履いてる靴と腕時計ぐらいか」




「ま、こんなとこやな、あんまり役に立たないのは携帯ぐらいやな」

「三世紀だもん仕方ないよ、さあ、出して直ぐだけど入れようか」

「そうやな、ハ〜面倒くさ」

「後、悪いんだけど割れないように気をつけて銅鏡も一緒に入れてくれない?」

「あいよ〜」

 タオルを2枚共使い銅鏡を包んだ 

 大和が戻すのを手伝いながらキョウがあることに気が付いた

「そういえば大和って格闘技か何かの武術習ってた?」

「色々とな、でも最近は使ってないし、
 本格的な戦争で使えるような物じゃ無いで?」

「うん、そうだろうけどさ、大和に死なれたら困るからね
 武器を使ったりは出来る?」

 割れないように服と服の間に銅鏡をいれた
 
 荷物を全て入れ終わったのでキョウの方に向かい直し地面に座り込んだ

「多分、一通りは使えるで、刀だろうと短剣だろうとなんだろうとな
 使ってた事あるやつなら使ってく内に直ぐ出来るようになると思うわ」

「そっか…大和!君に良い物をあげるよ!ちょっと待ってて!」

 言うなりキョウは銅鏡の鏡面に向かって何かを唱え始めた。

 すると鏡が薄暗くだが光り始めた

 キョウが鏡に手を当てるとスルスルッと手が鏡に入っていった

「ん〜と、あっ!あったあった!」

 何かを手探りで探していたらしい

 次にキョウが手を出してきた時には手に鎖に付いた宝石を持っていた。

 その宝石はまるで火の如く真っ赤だった。

「大和、宝石を握って、何でもいいから武器を想像してみて」

 大和は言われるまま握り想像してみた

(武器・・・か)

 子供の頃を思い出した。



 初めて手にもった武器 

 祖父の博物館へ遊びに行き、祖父に頼んで持たせてもらった武器

 あの頃の自分は重すぎ、とても持てなかった武器

 いつの日か使えるようになると決め、自分が剣道を始めるきっかけになった武器



鎖が消え宝石が赤く光り、元の形からは全く違う形になっていった。



 子供ながらに惹かれた武器

 初めて美しいと思った武器

 呪われていると言われ祖父があまり好きでなかった武器

  

握っていた部分が大きくなり柄の部分となり鍔ができ鞘が伸びていった

   

 赤い光りが収まった時、大和の手には鞘に収まった『村正』が握られていた

 試しに鞘から抜いてみると怪しくも美しい刀身が姿を現した 

「スゲ〜、昔見たまんまやん、キョウお前凄いもの持ってんねんな」

「昔、僕が使っていたんだ、でも今の僕じゃ使いこなせないから大和が使ってよ」

「昔、使ってたって?」

「昔、まだ代々火魅子が治めていた時は僕はもっと大きくて普通の人と変わらない位だったんだ
 そして僕は火魅子の護衛役をしていた
 でも、火魅子がいなくなって男が王になってからは段々と体が小さくなっていったんだ
 今の僕が使える大きさじゃあどんなに頑張っても包丁位にしかならないよ
 それから、それは大和の想像した物に姿を変えるからね、色々試してみてよ」
 
 そう言われ大和は色んな武器を順々に想像していった

 短剣、棍、拳銃やボウガン更にはビームライフル、ビームサーベルが姿を現した

「なんで、そんなの想像するの?」

「いや、ただ何となく、コレどうしたら元に戻るん?」

「『元に戻れ』って念じればいいんだよ」

 念じてみると再び赤く光り、手に収まる程の大きさの宝石になりどこからともなく鎖が現れた

「普段は首から下げるといいよ
 後、それを付けている間は身体能力が上がるし色んな術を想像して使えるようになるよ」

「術?どんなん?」

「ん〜コレは使う者の意志を読んでそれを実体化させる物だから大和の想像力次第だね、 
 そうだな、大和の感覚では術というよりは魔法って考えた方がしっくりくるだろうね」

「ってことは火や風をおこしたり、人を癒したりすることが出来るねんな?」

「大和の想像力次第ではね、でもあまり使いすぎちゃダメだよ?
 武器を出すのはともかく術を使うには精神力をすごく使うんだ
 だから、使いすぎると意識を失うし、酷い時には死ぬとこだって在り得るんだからね」

「マジか…分かったわ、気ぃつけるわ」

 心強いと同時に自分自身をも死に至らしめる恐ろしい物を首から下げた
 
「試してみてもええか?
 何かあった時に使ってみていきなりバターーンて倒れたんじゃシャレにもならへんからな」

「そうだね、でもあまり凄いのは想像しないでね?」

 頷き、目を閉じ何を出すのか考えた、

(基本はやっぱ火かな?)

 右手を伸ばしRPG等に出てくる魔法の火を想像してみた
 
 すると掌のの少し前に火が出てメラメラと燃え始めた

「お〜大和凄い!想像力豊かなんだね!」

 集中して火の形を変え野球ボール程の大きさの火の玉にした

 荷物の中にあった空き缶を取り出し思いっきり投げてみた

 身体能力が上がると言われていたがに利き手と逆にも関わらず利き手で投げるより遥かに速く遠く飛んでいった、

 その缶に狙いを定めた

「フ〜〜…行けえ!」

 言葉が引き金になり火の玉が缶に向かって飛んでいった

狙いは外れずに缶に命中するとボンッという音を発し缶を粉々にした
 
「スゴイな…、」

 キョウが近くに飛んできた

「大和どう?疲れたりふらついたりしない?」

 大和は自分の屈伸や目を閉じ片足で立ったり、色々試してみた

「いや…別にどうということは無いで、むしろ体が疼いて調子がいいぐらいや」

「ならいいんだけど…さっきも言ったけどあんまり調子に乗って使いすぎないでね?」

「分かってるって」
 



「さて、キョウ俺はまず火魅子候補を探したらいいんか?」

 荷物からペットボトルを出し、飲みながら聞いた

「そうだね、先に伊雅を探そうか、
 伊雅も火魅子候補を探してるだろうし何か情報を掴んでいるかもしれないからね」

「さっきの話に出てきた副王さんやな、でも先にってそう簡単に見つかるか?」

「大丈夫、伊雅は国宝の一つ蒼竜玉っていうのを常に持ってるんだ
 蒼竜玉は他の国宝が遠くにあると蒼色に近くにあると紅くなるんだ
 だから、僕等が伊雅の方に歩いていけば向こうもこっちに向かって来る
 ね?コレなら早く探せるでしょ?」

「そうやな、でもこっちから向こうのいる方角って分かるんか?」
 それにもしかしたら狗根国に捕まってるかもしれへんやろ?」

「任せてよ、正確な位置は分からないけど方向と動いてるかどうかぐらいなら僕でも分かるよ」

 キョウは目を閉じ精神を集中させた、数秒たつと目を開いた

「うん、大丈夫!移動してるよ。それに向こうもこっちに気付いて近づいてるよ」

 フ〜と大和は安堵の息を漏らした

「よし、んじゃあ行くか!」

「うん!」
 
 立ち上がり荷物を背負った大和が歩き出した

「大和!そっちじゃなくてこっち!」

 キョウは大和が歩き出したのと逆の方を指差した

「あ、悪い悪い」

 そして二人の姿が木々の間に入りやがて見えなくなった…