満点の夜空に星が流れ  2章 (H:ゲーム&小説 M:九峪、キョウ、オリキャラ J:?) 
日時: 09/05 16:08
著者:

 えーと、まず最初に状況を説明しよう。

 九峪は、伊雅の里に向かうはずなのに歩みを止め、手をあごにやりなにやら考えている。

(やべーーーキョウにああ言ったのは良いが、
 まるごしで蛇渇に勝てるわけね〜っ〜の。
 七支刀でもあれば互角以上に戦えっけど、
 七支刀は多分永閃、永楽兄妹が持ってるだろうし、
 第一とうすぎる。
 せめて白銀の剣でもあれば何とかなっけど、
 どこに在っか分かんね〜どうすれば・・・・・・)

 キョウは、天魔境の中に入っている。おそらく力を無駄に使わないためだろう。

(伊雅の里には鉄の剣はあるがほとんど意味ね〜しな。
 ひとまずどっかの町に行っていい剣でもないか探すか。)

 九峪は、何とか考えがまとまったようだ。
 蛇渇が伊雅の里を襲うのには、九峪の記憶ではあと一日の猶予があるそうだ。

 その時、女性が歩いてきた。
 その女性は肌が大変白く、着ている物は着物みたいなものだがそれも白かったので、
 遠くから見たら、何も着てないように見える。
 唯一その存在をはっきりさせている物は腰近くまでのばした、
 金髪の髪の毛だけだった。
 九峪の視力なら見えてもいいはずだが、考え中なので気づいていない。

「なにか、お困りですか?」
 
 米粒くらいにしか見えなかったのに一瞬で九峪の前まで来てしまった。

「え、え?」
「何かお困りなのでしょう」
「あ。はいそうっすけど」
 
 九峪は、高校生だったし、そのあとも神の使いとされてたので敬語が変だ。

「話してくださいな。力になれるかもしれないですよ」
 
 そう言いながら微笑んだ女性の笑顔は、九峪が思わずのけぞるくらい綺麗だった。

「えーといい剣が欲しいんですけど、どこにあるかな〜って考えてたっすよ」
 
 急に聞かれたので、結構本音が混ざっている。

「じゃあこの剣など、どうですか。結構な業物ですよ」
 
 何で欲しいんですかと聞かれたら危なかった九峪は、
 内心ほっとしていた。

 女性が出した剣はどこから出したか、わからないぐらいの長さだった。
(女性の身長は160後半、剣の長さは180ぐらいの長剣)

「けど交換する品物がないっすよ」
「そうなんですか。う〜んじゃあ私の言うことをひとつ聞いてくれれば差し上げますよ」
「そんなことで良いっすか。でも無理なことは言わないでくださいよ」
 
 女性は、先程九峪がした姿勢になって考え始めた。
 まだ決めてなかったのかよ!とツッコミたくなったくたにであったが、
 女性のその姿勢だけで可愛くみえ、目を輝かせながら九峪は見ていた。

「じゃあ、あなたについていってもいいですか」
「それは無理っすよ。他のにしてください」
 
 これから伊雅の里に行って、戦いをするので無理なお願いだった。

 女性は、九峪に近づいて、目をウルウルさせながら上目づかいでもう一度頼んだ。

「どうしても?」
「う・・・・・・」

 この手に弱い九峪は、声が詰まってしまった。
 それでも無理なものは無理っすよと言おうとした瞬間にもう一度

「どうしても?」

 九峪は、これはもう断りきれないなと思い諦めた。

「う・・・わかりました。降参っす。連れてきゃいいんでしょ!つれてきゃ!」
 
 女性は満足そうな笑みを浮かべ、
 対照的に九峪は、だいぶ疲れた表情になっていた。

「私の名前は、時歌(ときか)です。これからよろしくお願いします」
「俺の名前は、九峪っす。こちらこそよろしくっす」
 
 二人は、がっちりと握手をした。

「これからどうするんですか?」
「これから知り合いの里に行くんっすよ」
「じゃあ早速行きましょうか」

 時歌は、歩き出したが九峪は貰った剣をどこにしまおうか困っている。

「すいません。さっきまでこの剣どこにしまってたんっすか」
「フフフフフフ、秘密です」

 その笑顔を見て、あきらめた九峪は、結局背中に背負う事にした。
 かなり目立つが。






 しばらくして伊雅の里付近まで来た。

(伊雅の里ってこんなに近かったっけ?まあいいや)
 
 やはり九峪は、楽観的だった。

 それから30分ぐらいかかってから伊雅の里に着いた。

「ここが九峪さんの知り合いのいる里なんですか?」

 時歌がそう言った理由は、里が襲撃にでもあったかのようだった。
 ほとんどの家が原型をとどめていなかった。

(俺がこの世界に来たのは、約2時間ぐらい前、前の世界では歩くのが遅かったし、
 訓練とかもあったから、蛇渇が来たのは一日後ぐらいだったはず、
 どういうことだ)

 九峪が考え出したので、時歌は覗き込むような形で言う。

「どうしたんですか」
「う・・・・なんでもないっすよ」
 
 至近距離からの時歌の顔を見た九峪は、一瞬ひるんだがなれたのかすぐにたてなおした。

「とにかく生き残りがいないかさがしませんか?
「そうっすね」

 九峪はすぐに伊雅の屋敷に向かった。

「これは・・・・・」
 
 伊雅の屋敷の前まで来た九峪に前には、驚愕のものが置いてあった。

『耶麻台国副王 伊雅ここに眠る
               蛇渇』

(なぜだ。時間には余裕もあったはずだ。なぜなんだ。)

 目に涙を浮かべながら九峪は、考えていた。

「どなたか亡くなられたのですか?」

 九峪は守ろうとしていた人が守れなかったため、時歌に抱きついた。
 その拍子に溜まった涙が、とめどなく流れていった。






 それから数分後、九峪は時歌を離した。

「悪い、こんな気持ち悪いやつに抱きつかれたら気持ち悪いよな」
「いえいいんですよ。それに九峪さんの言うこときいたんですから、
 私の願いも聞いてくれるということですね」

 してやったり、といった感じの時歌と
 まじっすか、みたいなかんじの顔した九峪であった。

「じゃあ、今度は、服を交換してください。
 その服珍しいからきてみたかったんですよ」
「いや、さすがに無理っすよ。時歌さんが着ているのって女物じゃあないですか」

 九峪もさすがに女性用の服は着たくないらしい。

「あら、その服を涙で汚したのは、だれだったかしら」
「う・・・・・」
「それに、あなたのお願い私的には無理だったのに、
 無理やり抱きついたのはどこのだれだったかしら」
「う・・・・わかったっすよ。きりゃあいいんでしょ。きりゃあ!」   


 九峪が最初にきていた物を脱ぎ、パンツ一丁になった。
 幸い昼時だったのでさほど寒くなかった。
 この時代の人は、ボタンやベルトの仕方を知らないはずなのに、
 時歌は難なく着てしまった。
 九峪はそのことに気がつかなかった。服を貸したのが初めてだったのが主な原因だ。
 今度は、九峪がきるばんだ。九峪も難なく来たのは良かったが、
 身長がちがうので下の長さが足りなく正直言ってかなりキモイ。

「どうですか?」
「似合ってるっすよ」
「フフフフフフ、九峪さんも似合ってますよ」
「はいはい」 
 
 時歌はクスクス笑いながら言った。
 九峪は時歌の性格を理解してきたのか生返事を返すだけだった。

「これからどうするんですか?」
「ちょっとここでまっててくれますか?ちょっと用事があるんっすよ」
「はい。わかりました。」
 
 九峪は、時歌の見えない場所まで走ってから天魔境をとりだした。

「キョウ出てこい。話がある」
「・・・・・ふぁ〜なに九峪」
「蒼竜玉がある方向わかるか」
「え、なんで伊雅の里までの道わかるんでしょ?」
「いいからおしえろ」
「う〜ん。わかったよ。あっちの方向、結構近いよ」

 キョウが指したのは、北でそっちの方向には県居の里がある。

「キョウ。もうひっこんでいいぞ」
「うわ〜〜。扱いがひどい。ひどすぎる。せっかく教えてあげたのに」
「ああ、わかったから、さっさと引っ込め」

 といって九峪はキョウをつかんで天魔境の中に入れようとした。

「ひどい。ひどい。ひど〜〜〜〜〜・・・・・・」

 無事にキョウは、天魔境の中に入った。

(ふ〜んまだ気づいてないか。せっかく墓まで作ったのに、
 やっぱりあれだけじゃ気づかないか。まあたのしめればいいや)

 時歌はキョウと九峪の会話は聞いて考えていた。
 この考えが何を意味するかは、まだ誰も知らない。 






 あとがき

 こんばんは桜です。
 今回は、オリキャラを出してみました。
 (志野+上乃)÷2みたいな感じのキャラにしてみました。
 どうでしょうか。感想など待ってます。