火魅子伝 居場所 第2話 (H:小説 M:九峪・キョウ・伊雅・清瑞 J:シリアス)
日時: 02/12 04:03
著者: 蒼獅

 「神の遣い」になる事を決めた九峪は何をすればいいかキョウに聞いた。

「なぁキョウ、耶麻台国を復興させる事を決めたいいが何か良い案があるのか?」

するとキョウは、「伊雅を探そう」と言ってきた。なんでも伊雅という人は耶麻台国の王弟で、
神器の一つである蒼竜玉を持っているはずだから近くまで来れば自分の探知能力で分かるらしい。

それを聞いた九峪は「ふ〜んじゃあその伊雅って人に会いに行くか」と言って歩き出した。


歩き出してからはキョウと雑談しながら軽い足取りで歩いていたが三時間ほどたつと話すことも無くなり無言で歩いていると、
唐突に九峪が、
「キョウ、何時になったら伊雅に合えるんだ?もう歩き始めてから大分時間がたっているし野宿はしたくないんだけど」と言ってきた。
その言葉を聞くとキョウは、「そうだねこれ位の距離になれば向こうからこちらの位置が分かるはずだからね。この近くに古い神社があるからそこへ行こう」
と言ってきたので俺たちは神社へ向かって歩き出した。




しばらく歩くと神社が見えてきた。先にキョウが「人がいないか見てくるね。」と言って飛んでいったので九峪は「俺はゆっくり行くか」と無駄にある階段を見てため息をついて歩き出した。



 もうそろそろ階段も終わると思いながら登っているると上からキョウが飛んできて「誰かが使っている。」と言ってきた。
九峪は「こんなところを使っているんだから耶麻台国の関係者かもしれない。」と内心思ったがキョウには
「誰か使っているとしても今は居ないんだろ?だったら良いじゃないか。」と言って中に入っていった。



 中に入って辺りを見回すと確かに誰かが使った後が見られた。
色々と見て気ずいたのは服が女物の服しかないということだ。その後も何かあるか見回したが、見当たらなかったので
キョウも休むと言って鏡の中に入っていったことだし、九峪も休むことにした。



 少しばかり寝ていたようでキョウが鏡の中から出てきていた。
「キョウどうかしたのか?」と九峪が聞くと
「誰かが此処に向かってきている。」と緊張した面持ちで言った。
「誰かって此処を使っている人たちが戻ってきたんじゃないのか?」と九峪が言ってもキョウは
「此処に向かってくる人が多すぎるんだ。此処を使っている人を多く見ても五人がいいとだ。
だけど今ここへ向かって来ている人数は数十人なんだよ。」と相変わらず緊張した面持ちで言った。
その言葉を聞いた九峪は
「そんなに心配なら見に行ってこれば良いじゃないか。お前の姿、普通は見られないんだろ?」とキョウに言うと
キョウは「そっか、じゃあ見てくるね」と言って外へ出て行った。九峪はそんなキョウを見ながら「あいつどっか抜けてんだよな」
なんてことを思った。
キョウが戻って来るまでまた寝るかなんてことを思いながら体を動かしながら辺りを見ると、一部分だけ他と違う場所を見ると、
どうやら隠し扉になっているようだった。
隠し扉なんてものがあるということはこの先に何かあると思うのは当然で、九峪は隠し扉を開けて中を覗き込んだ。
扉の中はゴチャゴチャと何に使うかわからないものばかりだった。その中で九峪の目に付いたのは、長細い物体だった。
長細い物体の近くによりよく見てみると燭台のようだ。そう思い手にとろうとしたら燭台は何かに反応したように「ボッ」と音をたてて燃えはじめた。
九峪は何がなんだか分からないと思いつつもその燭台を持ち、隠し扉から出ようとした次の瞬間「そこにいるのは誰だ!?」と鋭い殺気と共に女の声が九峪に叩きつけられた。



 九峪は今の自分の状況を確認した。武器になる物といえば消える気配の無い燭台だけ。
体勢は後ろに振り向く格好で止まっており、相手が二人しかも一人は外にいる。油断していたとはいえ此処まで気配を自分に気ずかれることなく背後に立たれたのだ並の腕ではない。
この二人を相手にすることは今の状況では無理だった。それに、もしこの二人の内一人(おそらく外にいる人)が自分の考えている人物だとすると闘うわけにはいかない。
そう思っていると女のほうが「お前は何者だ!?何故こんなところにいる?」と聞いてきたので、ゆっくりと振り向き、
九峪は「俺の名前は九峪、耶麻台国を復興するために遣わされた神の遣いだ。此処にいるのはあんたに会うためだ耶麻台国副国王の伊雅さん。」と外にいるもう一人の方向へ向かって言うと女の殺気が増し、
「神の遣いだと?貴様、私をバカにしているのか!?」と今にも斬りかからん勢いで聞いてきたが外から「待て、清瑞。私が話そう」と言うと清瑞と呼ばれた女は不満顔で中に入ってきた男の脇に立った。
男は九峪の方を見ると何故か信じられないといった顔で九峪をというより九峪の持つ燭台の方を見ていた。
怪訝に思い伊雅に聞いてみると、なんでもこの燭台は「天の炎」といい火魅子しか使えないものらしい。
だが九峪が「天の炎」を燃やせたことと、天魔鏡を伊雅に見せたことにより伊雅は九峪の事を「神の遣い」と信じたようだ。
清瑞はまだ疑っていたが伊雅の天魔鏡を見た伊雅の反応等により表立っては反論しなくなった。
九峪が興奮している伊雅に話し掛けようとした時、キョウが「火魅子の資質を持つ娘が近くまで来ている」と言って帰って来た。



キョウが帰って来たことによりまた伊雅が興奮したりとちょっとした騒動があったがキョウの話を聞くにつれ戦士の顔に戻った。
キョウの話ではこの神社に狗根国の一団が捕虜を連れてこちらへ向かってきている。その捕虜の中に火魅子の資質を持った娘が居るということだ。
伊雅は「すぐにもお助けせねば」と立ち上がるがキョウに「捕虜の救助が最優先だから作戦を考えよう」と言われ座りなおした。
作戦といっても人数が少なく武器も時間もあまり無いということで、まず捕虜の救出するため九峪と伊雅で狗根国兵士を撹乱しその隙に足の速い清瑞に捕虜を救助させるというものだ。
敵を撹乱するために丸太に神社の中にあった服を使い人形を作り発火札をつけておく(発火札とは方字で書いた札のことでここでは「天の炎」に反応し発火する効果をもたらす)
発火札をつけた人形を林の中へ設置し終えたらあとは敵が来るのを各自待機場所で待つだけだ。
キョウは九峪に「九峪大丈夫?」と聞いたが九峪は目を瞑り集中しているようだったのでそれ以上話し掛けるのはやめておいた。
一方、目を瞑り集中している九峪は心の中で(これから戦いが始まる。この世界で俺の居場所を手に入れるまで死ぬわけにはいかない!!)と決心を固めた。







あとがき

どうも蒼獅です。

前回よりは長く書けました。

といっても展開は全然進んでいません。

今回は伊雅に会い星華を救出する前まで書きました。

次回は初の戦闘シーンを書きます上手く書けるかどうか分かりませんが頑張ります。

また私のSSを読んで頂き意見などがありましたら何でもかまいませんので感想掲示板にお願いします。

まだまだ初心者なので指摘していただくと助かります。

それでは失礼させて頂きます。