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Space-time jumper〜時を駆けし者〜第二話(G:とらハ3&火魅子伝M:恭也・久遠・キョウJクロス)
日時: 03/01 20:33
著者: インフェルノ   <t01117@mail.goo.ne.jp>
URL : http://www.ipec.aitech.ac.jp/~t01117/top.html



俺達は二時間ほど山の中を歩き続け、午後二時半ぐらいに目的の神社に続く階段の下までたどり着いた

階段はこけむしていて、いかにも長い間使われていないと言った風情だった。
急傾斜の階段を見つけ俺はつぶやく

「ふむ……いい鍛錬場所になりそうだな…」

「恭也ってさ、もしかして元の時代でも特殊な人間?」

「どちらかと言えばそうだろうな」

「……そうだろうね」

「何か言ったか?」

「う、ううん…そうそう、まずはこの階段を昇ることが恭也達が元の世界へ戻るための第一歩なんだよ」

「………ごまかしたな」

「な、なんのこと?」

「まあいい、さっさと昇ってしまおう」

それから数分後

「ふぅ……」

境内に足を踏み入れた所で額に浮かんだ汗を拭い辺りを見渡す

それほど広くは無い境内は鬱蒼とした原生林の中にあった。
樹齢百年と思われる樹々に囲まれて物音一つしない深閑としたその場所には、いかにも神社だという雰囲気に満ちていた

「恭也、恭也」

キョウが俺に話し掛けてくる

「なんだ?」

「ちょっと、その辺りの樹の陰に隠れてて」

「何故だ?」

「建物を調べてくるから。まさかとは思えないけど狗根国の人間がいたりするとまずいからさ」

「その心配はない」

「どうして?」

「この辺りからは人の気配がしないからな、少し気になる事があるにはあるが」

「え?ちょっと恭也?」

俺はキョウを無視して社殿の中に入る

……………やはりな、建物の中には最近まで人が住んでいた気配が残っている

「もう、恭也、教えてくれたっていいじゃないか」

「少なくともここ最近まで……ここに人が住んでいた」

「どうしてそんなことがわかるのさ」

「気配と勘……それとこの荷物からだな」

「ほんとだ」

キョウは周囲に散乱している物を物色し始める。

俺は再び辺りを見渡す……ここなら、野宿しても大丈夫そうだな

「恭也!」

キョウが大声をあげて俺に近づいてくる

「どうした?」

「ここにある服、みんな女物だよ、ほら、これなんか恭也の世界の下着に近いんじゃない?」

そういってキョウが体の前でかざして見せたのは、もちろん材質は違うが、
確かに恭也が知っている現代の下着のような形状だった

「あ、ああ、そのようだな」

俺は目線を逸らし下着を視界から消す

「あれ?もしかして恭也照れてるの?」

「うるさい、黙ってくれないか?」

「………う〜ん、ってことはここを使っている人間は全員女性なのか。
しかもここの脱げ捨ててある服を見ると、巫女がいるな」

「それで、どうするつもりだ?たいていの人間には勝つ自信はあるが……?」

キョウは俺の問いに女物の服を手にしたまま考え込んでしまった

「う〜ん、困ったね。この様子だと、ちょっと出かけたって感じだから、
 そのうち戻ってくるだろうし相手の正体がわからない以上、鉢合わせはしたくないなぁ」

「他に野宿できるような場所はないのか?」

「うん」

キョウは縦に首を振る

「何処かに隠れて待っていよう。こんな場所を使ってるって事はひょっとして、狗根国に追われている人間だって可能性もある。
 ってことは、もしかして元耶麻台国関係者の可能性も……。もしそうなら何らかの助力を得られるかもしれない」

「隠れると言ってもな。隠れるような場所が無いのだが?」

「床下でいいんじゃないの?」

「気配で察知される場合がある」

「ああ……大丈夫だよ。おいらが穏伏の術で恭也達の気配を消すから」

「気配を消す?そんなことができるのか?」

「まあね、神器の精だからね、恭也ひとりぐらいなら大丈夫だよ」

キョウは床に目を凝らし探り当てた床の一部に俺を導く

「ここ、持ち上げて」

俺は言われたままに手をかけて引っ張ると、木の床の一部がぽっかりと持ち上がった

キョウはするりと床下にもぐりこむのを待ってから床下にもぐる

こっちこっちと手招きをするキョウのあとを追って俺は地面の上を移動していった

「ここにしよう」

そう行って地面の下に下りたキョウの隣に腰をおろす

「ちょっと待っててね」

キョウは俺が腰を降ろしている周囲を一回りして、地面の上に円を描いた。
次に、円の周囲の何箇所かに、なにやら不思議な絵文字を描いていく。

「なるほど……結界みたいなものか」

「そうそう、そのとおりだよ。この円から出ちゃ駄目だよ。出たら効力が消えちゃうからね」

そう言うとキョウも円の中に入ってきて俺の傍らに腰を降ろした

「そういえば、この子一体なんなの?」

「久遠のことか」

「そう、魔獣が人間に変化するなんて聞いた事も無いし」

「魔獣?」

「うん、この世界はね、“天界”“仙界”“人間界”“魔獣界”“魔界”の五天から成りたっているんだ」

俺がわけのわからないといった顔をしていると

「地獄とか煉獄とか天国とかそんな感じの世界っていえば想像できるかな?」

「なるほど」

「で、魔獣は名前の通り魔獣界から召喚されてやってくるんだ」

「久遠は魔獣ではないぞ」

「わかってるよ、恭也の世界に魔獣なんているはず無いし」

「そうか」

「ふぅ。少し疲れちゃったな。ねえ、恭也、銅鏡、出してよ」

「ん?ああ、どうするんだ?」

「ここを使っている人間が戻ってくるまで、休んでおきたいんだ」

「わかった」

「たぶんね、伊雅が持ってる神器がおいらの位置を教えているはずだから、きっと明日になれば伊雅もこの辺りまで来ると思うんだ」


「それまでここで雨を凌いでいればいいか」

「雨?」

「ああ、いま降ってきたようだ」

「まぁ……いいや、伊雅が来るまで僕は休んでるよ。誰かがここに近づいてくるのを感知したら出てくるから。じゃあね」

俺と久遠は雨音を子守唄代わりに眠りに入った





眠っていた俺は誰かが揺らしている振動で目を覚ます


「ねえ、恭也、起きて、起きてってば」

「キョウ?どうした?」

「寝てる場合じゃないよここに誰か近づいてくる」

「ここを使っていた人たちか?」

「違うと思うんだ」

「違うと思うって……伊雅という人がここの近くに来るまでにはまだ時間があるんじゃないのか?」

「伊雅でもないよ、一応ここの近くには来てるけど別の方向からきてるんだ」

「ここを目指しているのか?」

「うん、こっちに向って近づいてきてるんだ」

「ここはだいぶ前に廃棄されているみたいだが?」

「この神社は狗根国によって廃棄させられているんだ。だからここに来ていること自体が狗根国に逆らっていることになるんだ
 ひとりでこっそりとならわかるけどこんなに大勢じゃ」

「大勢?どれくらいの人数なんだ?」

「数十人」

「たしかにこっそりとは言えないな」

「わからない。全然わからないよ」

腕組みをしたキョウがイライラとした様子で恭也の目の前の空間に浮かんだまま行ったり来たりしている

「わからないんだったら調べに行ったらどうなんだ?」

「え?」

「普通の人には見えないんだろう?」

「あ……そうか、じゃあ様子を見てくるよ。なにか胸騒ぎがするんだ」

キョウは狭い床下の空間をかなりの勢いで外に飛んでいくと、思いついたように俺のほうを振り返る

「そうそう穏伏の陣から出ないようにね」

「ああ、わかった」

「じゃ、ちょっと行ってくるよ」

そういうとキョウは床下から外へと飛び出していった

「さて、少し暇だが大人しく待っているか」








今までの時間で伊雅と清瑞が急に反応した神器に驚き神器の指し示すままに移動していたり
星華と宗像三姉妹が狗根国の罠にはまって捕まり、アジトである神社に移動していたり、
その様子を伊万里、上乃、仁清が見ていて彼女達を助けようと機会をうかがいつつ後をつけていたりするのですが……
とりあえず火魅子伝をやっていない人に説明を、


伊雅:この作品でも名前が出てきましたが、耶麻台国の元副王で前王の弟でもありました。
   本当の火魅子を連れて逃げている最中に火魅子が消えてしまいます。
   それ以来、耶麻台国復興のため狗根国と戦い続けています
   また読者に清瑞との関係がすでにバレバレのような気もしますが何かあるようです

清瑞:彼女は乱破(らっぱ)です。乱破は今でいう忍者の事ですね偵察や暗殺などを仕事としています。
   インフェルノは火魅子伝の中でこのキャラが好きなんですが……恭也にどう絡ませていくかは考え中ですね

星華:火魅子候補の一人で巫女さんの格好をしています。それでも露出度は高いですが。自分が火魅子候補だと知っており、
   耶麻台国滅亡後宗像三姉妹と共に反狗根国運動をしていました。また法術の使い手でもあります
   彼女と亜衣は主人公九峪の出現を「外法のものが現れる」と予言していました。
   恭也についてもそう予言していると思ってください。
   本編ではやはり、火魅子になりたいのか少しながらも他の火魅子候補に後れを取らないようにしているみたいです
   ああ、あと胸が大きいです。胸が垂れるのを気にしています(おい

宗像三姉妹
長女 亜衣:彼女も方術を扱うことが出来ます。宗像三姉妹のまとめ役ともいえる立場なのですが、
      少々思考が暴走することがあるようで他の姉妹からつっこまれることも有ります。
      星華も亜衣には頭が上がらない時もあるようで、亜衣の一睨みで黙ってしまうこともあります。
      亜衣は星華を火魅子にする事を目標としており、生き甲斐でもあります。また優秀な軍師でもあります。
      胸が小さいことを気にしており、また趣味・美的感覚がおかしいらしいです

次女 衣緒:宗像三姉妹で一番の常識人で恥ずかしがり屋でなんというか大和撫子という言葉が良く似合うのですが
      体を鍛えており男性にも負けない怪力を持っています。
      ですが筋肉のことでからかわれる。例えば衣緒に抱きしめられた男は全身複雑骨折で悶絶死だと言われると怒ります
      こんなこと言われたら誰でも怒りますが(汗

三女 羽江:戦闘には向いておらず、後方支援・武器開発を得意としているようです。
      星華と宗像三姉妹は一体ずつハングライダーのような飛空挺と呼ばれるものを持っており、これを作ったのは羽江です
      しかし、いつもはうるさく、おかしな言動をしています。駄洒落も言うのですがたまに現代ネタが入ってます

伊万里:山人の娘です。山人とは山で暮らし山の事を知り抜いている狩人と考えて言いとおもいます。
    彼女の里は耶麻台国の元軍人で出来ていると思われます。性格は責任感が強いです
    伊万里はいつか狗根国を九州の地から追い出そうと機会を窺っていたようです
    上乃・仁清と狩りをしている最中に星華や宗像三姉妹が乗った飛空挺を見てそれを調べるために追っていたところ
    星華たちが狗根国に捕まっているところに遭遇し機会を窺いつつ後をつけています

上乃:伊万里とは乳母姉妹で村の中でも一番の友人です。また伊万里の考えに賛同して反狗根国の機会を窺っています
   明るい性格をしていて、伊万里の事を第一に考えて行動しているみたいです

仁清:伊万里・上乃とは友人で、いつも三人で行動していたようです。おそらく脇役中の脇役になるかと思われます
   真面目な性格で、伊万里・上乃のことを第一に考えて行動しているみたいです。




本当は作品の中で説明やそのときの描写をしたかったんですが(汗
恭也と出会っていないため本編との差異が出来ない状態です、そのまま本編を書くとただでさえ本編から文章をパクってるので(おい
これ以上やるとちと問題が生じてくると思われるので不本意ながらこういう説明を取らせていただきました。