「なぜなにヤマタイ、始まるよー!」

「・・・・・・始まるよ」

「どっもー、ウサタンの兎音でーっす!」

「・・・お姉さんの、珠洲です」

「いやーお姉さん、始まっちゃいましたねー」

「・・・始まりました」

「この番組は耶麻台国を応援する皆さんの素朴な疑問を解消し、復興軍により親しんでもらうために誕生しました」

「・・・姑息な広報宣伝活動です」

「「火魅子様候補ってどんな人」とか「神の遣いってすけべぇってほんと」とか思ったことはありませんか?」

「・・・あれは確かに、どすけべぇです」

「どんなつまらない疑問でも構いません、どしどしお寄せ下さい」

「・・・イメージアップに繋がる物のみお答えします」

「お姉さんお姉さん、そんな身も蓋もない言い方しちゃだめよ」

「・・・だってこんな某機動戦艦のパクリ、やってらんないもの」

「そりゃそーだけど・・・せめて穏便にパロディーって言ったら?」

「・・・いや」

「お姉さーん、おねがいよー」

「・・・それより番組進行したら? 時間なくなる」

「そっそれでは気を取り直して、最初の質問から「ちょーっと待ったー!」へ?」

「・・・あら、キョウ」

「非道いじゃないか! お姉さん役はおいらがやるはずだったんだぞ!」

「・・・そうなの?」

「そー言えば最初の配役ではそんな話も出てた様な・・・」

「そーだよ、ウサタンが兎華乃(兎バージョン)でお姉さんはおいらにやらせてくれるって言ってたのに・・・」

「・・・仕方ないじゃない・・・お姉さんは無愛想な美少女がやるって決まってんだから」

「おいらだってなぁ、おいらだってなぁ、声優が早い段階で決まってれば大暮先生に可愛くデザインしてもらえたんだい。
 ほんとだったらチャムファウ(ダンバイン)とかティッピちゃん(グローランサー)みたいな・・・」

「・・・仕方ないじゃない・・・現実のあなたは美少女どころか性別も定かならぬ謎の飛行物体なんだから」

「おいらはUFOじゃないやい! だいたいなんだよ、さっきから仕方ない仕方ないって・・・」

「・・・仕方ないじゃない・・・いくら辛くてもそれが現実」

「まあ確かに既に決定した配役について、今更あたし達に言われても仕方ないですよねー」

「うっ、うぅっ、ううぅっ・・・おっおっおいらが、おいらが、おいらが一番お姉さんを上手くやれるんだーい!」

「・・・負け犬の遠吠えって見苦しい」

「・・・ちっくしょー! 九峪に言い付けてやるー!! うわあぁぁぁぁぁぁぁん・・・・・・」

「・・・負け犬退場」

「そっそれではぁ、最初の質問にいっきまーっすよっ。
 えっとぉ『魔人にまで「うっそーん」と否定されてしまう自称23才の天目の年齢は実は幾つなんだ?』
 ・・・っという疑問が九洲在住のPN「耶麻台最強司令官」さんからきてまーっす」

「・・・仮にも女性の年齢について質問してくるなんて、あのバカなに考えてんだか。
 ・・・それとも神の国では誰もそんなの気にしない?
 ・・・神の国の女性も太っ腹なんだか、無神経なんだか・・・」

「おっお姉さん、お姉さん、あまり不穏当な発言ってば拙くない?
 苦情とか来ちゃうよ」

「・・・いいの。 ばれて困るのはあっち」

「それもそっか、それでは嘗ての日輪将軍天目直属配下にして狗根国離反者、マッドドクター忌瀬に解説して頂きましょう」

「はーい、それでは解説しましょう」

「・・・動じない人ね」

「え? なんか言ったかな?」

「・・・いえ、なにも」

「さて、ご存じのように天目さまは、ことその美容と目立つ事に関しては文字通り命を賭けていらっしゃいます。
 その真意は兎も角、狗根国から亡命したきっかけも、地味な格好をさせられたからでした。
 そんな天目さまですからお肌のお手入れも怠りなどあろう筈も御座いません。
 一般的な各種パックに始まって、私ですら知らされない秘密の美容法まで枚挙に暇は御座いません。
 そんな弛まぬ努力の結果、天目さまのお肌年齢は十分に二十代前半、いえ・・・下手すると・・・十代でも通用する・・・かな?って程です。
 その驚異の美容法の秘密は闇に包まれており、先程も申し上げましたとうり私ですら知らされておりません。
 一説によりますと、毎晩処女の生き血のお風呂に浸かり、童貞美少年の精液でパックしているともいいます。
 またカーマスートラの秘技を、或いは真言立川流の房中術を駆使して哀れな男達の精気を搾り取っているともいいます。
 さらに天目親衛隊にはむさ苦しい男共は勿論のこと美少年、美青年、美中年すらも居らず、女性のみで構成されております。
 これも実は天目様に精気を搾り取られた男の身中の陽の気が反転して陰となり、女に為り果ててしまった結果であるともいいます。
 こういった数々の怪しい噂、風聞がまことしやかに流れていますが、果たしてその実体は如何に? 全ては闇の中であります。
 しかしその真相も何時の日にか必ずや白日の下に曝して見せましょう、じっちゃんの名にかけて!!」

「・・・なに言ってんだか」

「あのねせんせ、あんまし時間ないんだからさ、早く本題に入ってくんない?」

「んもう、いいところだったのに・・・まっいいわ。
 さて、完成されたダイナマイツバディーと匂い立つような色香を併せ持つ天目さまは、正しく大人のうぉ・ん・な。
 それでいて驚異のお肌年齢を誇る天目さまの実年齢なのですが・・・」

「忌瀬・・・」

「へ?・・・てっ天目さま?」

「私にも聞かせてもらいたいものだな、医者のお前の目から見て私は何歳に見えるんだ、ん?」

「もっもちろん、天目さまは永遠の二十三才ですとも」

「ふむ、なるほどな、まあ名医のお前の言うことだ間違いは無かろう」

「はい、勿論ですとも。そっそれでは私はこのへんで・・・」

「あぁ、そうだ忌瀬。私は今から九峪様に用事があるんだが、その後おまえにも話がある。
 この収録が終わったら私の部屋まで来てくれ。多少遅くなるかもしれんが待ってるように」

「え? いえでも・・・」

「いや待てよ、私の部屋はやめて温泉にしよう。
 私が普段どんな風呂に入っているか、お肌の手入れ方法なんぞもレクチャーしようじゃないか。
 知りたかったんだろ、ん?」

「あっあの、でも・・・」

「いいか、ばっくれるんじゃないぞ。必ず、来るように」

「はっはいぃぃぃ」

「・・・年増と腰巾着、退場」

「・・・そっそれでは気を取り直して、次の質問でーっす。
 こちらは九州在住の姫島日魅子さんからのお便りです。
 え? 九州? ・・・日魅子さーん、字間違ってますよー、今度から気を付けてねー」

「・・・(バカばっか)」

「えぇーっと『あの志野って娘いったい何なの? いっつも裸同然の格好して、もしかして露出狂?
 はっずかしーわねー。 あっもしかしてその貧相な身体で九峪のこと誘惑しようとしてるの?
 駄目よ! 九峪はあたしの彼氏なんだから! ちょっかい出さないでよね!』という、あっ」

「(ビリビリ、ぐしゃぐしゃ、ぽいっ、だんだんだんだん、ぐりぐりぐり)はーっはーっはーっ。
 ・・・没!」

「でもぉ・・・」

「(ぎろっ)没ったら没!」

「まあ質問になってなかったからいいですけどー・・・。
 でもせっかくですので、さっきのお便りのためにお招きした特別ゲストのご紹介と参りましょう。
 元旅芸人一座の座長代理にして耶麻台国軍団長、その身体と踊りで男を惑わす魅惑の舞姫。
 火魅子候補の志野さまで(ずばこーん!)おわっ」

「だっだいじょーぶですか? あの、おけがは・・・」

「志野! こんなとこ出てこなくていい!」

「でも・・・」

「いーから、引っ込んでて! 汚れ役はあたし一人でいーんだから!」

「つっっっ・・・んもーっ、いったいわねー。なーにすんのよー」

「ごねんなさいね、珠洲ったら・・・」

「志野が謝ること無い。悪いのはこいつ」

「これっ珠洲! あなたも謝りなさい。ほんとにごめんなさい(ぺこぺこ)」

「あっいえ・・・」

「ほら、もういいから帰って!」

「あんっもう押さないでよ珠洲。ほんとにごめんなさいねー・・・・・・」

「・・・せっかくゲストで喚んだのに・・・何の話もしない内に帰ってしまいました」

「・・・次」

「へ?」

「・・・次!(ぎろっ)」

「あっあぁ、次ね(たらーっ)そっそれでは次の質問です。
 こちらも九洲在住のPN「耶麻台国の影の支配者」さんからのお便りですねー。
 えーっと・・・・・・べっ別の質問に行きましょうか、ってお姉さんそれはだめー」

「・・・また女性の年齢に関する質問・・・上が上なら下も下・・・全くなに考えてんだか、あのデブ」

「だからだめだってばー、お姉さんそれ返してー」

「・・・『魔兎族の女王である兎華乃様は、九峪様の20倍以上生きているそうですが実際にはお幾つなんですか?』
 ・・・・・・じゃあ、魔兎族を代表してウサタン、答えて」

「勘弁してよー、そんな事ばらしたらあたし殺されちゃうよー」

「・・・大丈夫・・・情報提供者の秘密は厳守するし・・・それにいざとなったら兎奈美に代役頼むし」

「なーんだー、それなら安心・・・ってそんな訳ないでしょー!」

「・・・さあ、覚悟を決めて、さっさとゲロする」

「だっだから駄目だってばー・・・」

「あら、兎音?」

「ひっ!・・・そっその声は・・・」

「・・・出方が天目と同じ・・・パターンね」

「なにか?」

「・・・いえ、べつに」

「ふーん・・・まっいいわ。それで何してんの、こんなとこで?」

「えっいえ、こっこれはですね、えっと・・・」

「・・・『なぜなにヤマタイ』という番組の収録中」

「なによ、それ?」

「えっと、民の疑問に答える事で開かれた王家をアピールし、新しい耶麻台国政府に親しんでもらう。
 こうして親耶麻台国の気運が高まる事で、民値を上げ、反狗根国の気運を高め、税収の増加をも期待する。
 ・・・で良かったよね?」

「・・・そう」

「ふーん・・・何かよくわかんないけど、妙な事やってんのね」

「知らずに来たんですか?」

「まーねー、私に断りもなく兎音が何か面白そうな事やってたからちょっかい出しに来たのよ」

「・・・ちょうどいいので御本人に聞いてみましょう」

「だっ駄目だってばお姉さん、御願いだからやめてー!」

「どーしたのよ兎音さっきから、私には言えないこと?」

「・・・実はウサタンから女王様に聞きたい事があるそうです・・・さ、ウサタン質問を」

「へ? いっいやよ、あたしに振らないでー」

「んもう、なんだってゆーのよ? なんだか分かんないけど言ってみなさいよ」

「・・・ほら、女王様の命令。きりきり白状する」

「せっせめてお姉さんが言ってよ、御願い」

「・・・だめ」

「なんでー!?」

「・・・それがウサタンの役目だから」

「うぅぅぅ・・・」

「・・・それにお姉さんが言っても、どーせ結果は同じ。
 ・・・女王様が共犯のウサタンを見逃すはずない」

「きょ共犯になっちゃうのー!?」

「・・・ここにいる時点でそう」

「あぅぅ・・・あの・・・兎華乃様?」

「なあに?(ニッコリ)」

「えっと・・・実は兎華乃様について・・・その・・・質問が来てまして・・・あの・・・えっと・・・」

「もう、だからなんなの?」

「あの・・・女王様って、ほんとは何歳なのかなー、なーんて・・・」

「え?(ひくっ)・・・ノーコメント」

「・・・でも、九峪様の20倍生きてんでしょ?」

「(じろっ)・・・ノーコメント」

「おっお姉さーん、もおやめてよー」

「・・・わかりました・・・後でウサタンに聞くことにします」

「(ぷるぷる)」

「・・・・・・・・・それで、その質問者って?」

「・・・九洲在住の匿名希望、PN「耶麻台国の影の支配者」っていうデブ」

「そう・・・それじゃ私は用事が出来たんで失礼するわよ・・・あーそれから兎音」

「はっはいぃぃぃ」

「よけいなこと口走るんじゃないわよ、いいわね」

「もっもちろんです」

「それじゃね」

「・・・女王様退場・・・ところでウサタン」

「さっさて、そろそろ時間も押し迫ってまいりました」

「・・・さっきの質問」

「それでは皆さん、また来週」

「・・・だからさっきの」

「ごきげんよー!」

「・・・だから」

「ごきげんよー!」

「・・・」

「ごきげんよー!」